事業用車両と社用車では、運行管理者と安全運転管理者の役割やアルコールチェックの位置付けが異なります。本記事では両者の制度や業務内容の違いを整理し、実務上のポイントを解説します。
運行管理者とは、バス・トラック・タクシーなどの事業用自動車の安全運行を統括する有資格者で、営業所ごとに選任が義務付けられています。乗務割の作成、出発・帰庫時の点呼とアルコールチェック、運転時間や休憩時間の管理、運転者教育、記録の作成・保存などを行います。緑ナンバー事業者向けの制度であり、社用車を持つ一般企業で選任する道路交通法上の「安全運転管理者」とは対象や根拠法令が異なる制度です。
運行管理者は、事業用自動車の運転者に対して、出発前・帰庫時の酒気帯び確認を行うことが義務付けられています。道路運送法や関連通達により、アルコール検知器を用いた確認と結果の記録・保存が求められており、違反した場合は行政処分などの対象となる可能性があります。
運行管理者は、緑ナンバーのバス・トラック・タクシーなど事業用自動車を用いる自動車運送事業者の車両が対象です。一方、安全運転管理者は、一定台数以上の白ナンバー社用車など自家用自動車を保有する一般事業所の車両が対象となります。
運行管理者は、貨物自動車運送事業法・道路運送法および関係規則に基づき、自動車運送事業者に選任が義務付けられた制度です。安全運転管理者は、道路交通法第74条の3とその施行令・公安委員会規則に基づき、一定台数以上の自動車を使用する事業所ごとに選任を義務付ける制度です。
運行管理者は、運行管理者試験に合格するか、所定の実務経験と講習により運行管理者資格者証の交付を受けた者から選任します。安全運転管理者は原則20歳以上で、運転管理に関する2年以上の実務経験を有する者などが要件で、試験は不要ですが講習が行われます。
運行管理者は、点呼や酒気帯び確認、乗務割と運転・休憩時間の管理、運転者教育などを行い、事業用車両の運行安全を統括します。安全運転管理者は、社用車の運行計画や運転者の状況把握、安全運転教育、日誌・アルコールチェック記録の管理などを通じて事業所の交通安全を図ります。
運行管理者は、営業所ごとの事業用車両数に応じて一定数以上を配置し、選任・解任時に運輸支局へ届出が必要です。安全運転管理者は、11人乗り以上1台又はその他5台以上の自動車を使う事業所ごとに1人以上選任し、選任日から15日以内に都道府県公安委員会へ届け出ます。
運行管理者制度では、選任義務や運行管理基準に違反すると、文書警告や自動車使用停止、事業停止、許可取消などの行政処分が事業者に科されます。安全運転管理者制度では、安全運転管理者を選任しない場合は50万円以下、届出を怠った場合は5万円以下の罰金が科されます。なお、解任命令違反や是正措置命令違反についても50万円以下の罰金が科されます。
| 項目 | 運行管理者 | 安全運転管理者 |
|---|---|---|
| 対象車両 | 緑ナンバーのバス・トラック・タクシーなど、事業用自動車(貨物・旅客の運送事業車両)が対象。 | 一定台数以上の白ナンバー社用車など、自家用自動車を保有する一般事業所の車両が対象。 |
| 根拠法令 | 道路運送法・貨物自動車運送事業法および関係省令・通達に基づく運行管理制度。 | 道路交通法第74条の3および施行令・施行規則に基づく事業所の安全運転管理制度。 |
| 必要資格 | 国土交通省の運行管理者試験合格、または所定の実務経験と講習により資格者証の交付を受けた者。 | 原則20歳以上で運転管理に関する一定の実務経験等が必要だが、国家試験は不要で講習受講が中心。 |
| 業務内容 | 乗務割の作成、点呼・アルコールチェック、運転・休憩時間管理、運転者教育、記録の作成・保存など安全運行の統括。 | 社用車の運行状況把握、運転者への安全教育、事故防止活動、日誌やアルコールチェック記録の管理など事業所内の交通安全管理。 |
| 選任基準 | 営業所ごとの事業用車両台数に応じて一定数以上を選任し、選任・解任時に運輸支局等へ届出が必要。 | 乗車定員11人以上の自家用自動車を1台以上、またはその他の自家用自動車を5台以上使用する事業所ごとに1名以上を選任し、公安委員会へ届出。 |
| 罰則 | 選任義務違反や運行管理基準違反で文書警告、自動車使用停止、事業停止、許可取消などの行政処分を受ける。 | 選任しない場合は50万円以下、届出義務違反などは5万円以下の罰金が科される。 |
運行管理者と安全運転管理者はいずれも、事故防止の要として運転者の健康状態や勤務実態を把握し、安全運行を支える重要な役割を担っています。特に近年は飲酒運転根絶に向け、運行管理者による乗務前後のアルコールチェックや記録保存、安全運転管理者による社用車ドライバーへのチェック体制整備が強く求められています。
自社の車両区分に応じて両制度の違いを正しく理解し、アルコールチェックを含む実効性ある安全管理体制を構築することが重要です。